風の向く方へ

風の向く方

与えられた役目に、そっと手が添えられていた。

できることを、できるかぎり差し出すように。

その誠実さの奥で、 流れは音もなく形を変えていた。

ただ向き合っていただけの時間に、 空気の密度がふいに揺れ、 扉は気配のように開いた。

歩みは、風の向きにそっと重なっていった。

風の向く方